どーも!しゃんばりです!
今日もライテク図書館にお越し頂きありがとうございます!!
今回はとあるC2選手からお悩み相談を頂きましたので、そちらを記事にしていきたいと思います♪
この記事を読むとこんなことが分かります
- C2級 とことこ選手はこんな人
- とことこ選手のお悩み:フロントタイヤが走らない
- 速度と角速度の違い
- 考えられる主原因 3選
- クロスチェックの手順とコツ
はじめに
注意事項
この記事はC1昇格を狙っていらっしゃる、とことこ選手から頂いたお悩み相談に関する記事になります。
ノービス選手やジムカーナ未経験の方、初心者の方が読むとセッティングに関する先入観を与えてしまい、今後の成長を阻害する(回り道をしてしまう)要因になり得ます。
そういった初心者の方に対しては、筆者はまず抽象的な目標設定をし、そこに向かって「乗り方を試行錯誤する」ことを推奨しています。詳しくは下記記事をご参照ください。
C2級 とことこ選手はこんな人
2022年に113%という好タイムでC2昇格。
C2昇格後もその勢いは衰えていないようで、幾度となくC2入賞を果たしている。
昨年まではHONDAのVTR250に乗っていたが、現在はKawasakiのZ400に乗り換えた。
大抵の選手は乗り換え後にタイムが低迷する傾向にあるが、とことこ選手は練習会、大会ともにしっかりとクラスタイムを出せている様子。
とことこ選手のお悩み
原文は下記のツイートをご参照頂きたいですが、要約するとこんな感じ♪
ターンの度に車速が落ちてしまっており、スピード感がない。
もう少しフロントタイヤが走っていく感じにしたい。
とのこと。
まず、このツイートを拝見した率直な感想が以下の2点でした。
・乗り換えて1年も経っていないのに、ここまで乗りこなせているのは凄い!
・フロントタイヤが転がらないせいで車速が落ちてしまっているという考察力が凄い!!
特に2点目については脱帽ものです。
確かに、動画を拝見するとフロント起因で車速が落ちてしまっています。
多くのC2選手が自身のライディングに対し誤った考察と誤った対処をしがちなのに対し、とことこ選手はしっかりと自身の課題を正しく捉えられています。
しかもこのご相談を頂いた翌日にはしっかり課題を解決されて、C1タイムを叩き出していました。
もはや筆者の出る幕はありません。笑
とはいえ、せっかくなので本件を題材に、フロントタイヤが走らない時の原因と対策について、筆者の考え方を共有させて頂きたいと思います。
速度と角速度の違い
まず、本件を語るにあたり、2つの言葉を筆者流に定義したいと思います。
一般的に速度というと、運動する物体の単位時間あたりの変位量[m/s]を表し、
角速度というと、回転運動する物体の単位時間あたりの回転角度[rad/s]を表すものかと思います。
※単位は参考
しかし、この記事においてはそれぞれを下記のように定義します。
速度 :旋回中のリアタイヤの速さ
角速度:旋回中のフロントタイヤの速さ – リアタイヤの速さ
つまり
高速コーナーのようなフロントタイヤとリアタイヤの走る距離が近い状態を
「速度は高いが角速度の低い状態」
フルロックターンのようなフロントタイヤがリアタイヤに対し大回りしている状態を
「速度は低いが角速度の高い状態」とするわけです。
この言葉の定義は一般的ではない為、要注意です。
筆者特有の言い回しであり、このブログ内でしか通用しないと思って下さい。
この図を見て、勘の良い方は既にお気づきかもしれませんが、小旋回が頻出するモトジムカーナにおいて、この「角速度」をいかに高められるかが勝敗を握るカギになるわけです。
では、角速度はどうすれば高められるのでしょうか?
このブログにおける角速度の定義は「旋回中のフロントタイヤの速さ-リアタイヤの速さ」でしたね。
従って、フロントタイヤを可能な限り早く進ませ、リアタイヤは可能な限り遅く進ませたい。
極論、コンパスで円を描く時のように、リアタイヤを回転中心としてその周りをフロントタイヤが回るような旋回が理想で、且つフロントタイヤをなるべく速く走らせたいわけです。
ここでもう一度、とことこ選手の走りを見てみましょう。
コンパスのような旋回はできていそうですが、フロントタイヤの回る速さがいまひとつな為、なかなかバイクの向きが変わらずにライダーが待っている印象を受けます。
これは確かにフロントタイヤにもう少し速く回って欲しいという悩みも頷けますね。
考えられる主原因 3選
その1 ハンドル切れ角過多
フロントタイヤの転がりが悪い場合の原因として、まず最初に考えられるのがハンドル切れ角が多過ぎることです。
分かりやすいように、極論で考えてみましょう。
下図はバイクを真上から見た絵だと思って下さい。
左側はハンドルを少しだけ切った状態。
右側はハンドルを進行方向に対して90°までハンドルを切った状態です。
さて、リアタイヤが赤矢印の方向に進もうとした際、左の状態と右の状態、どちらが軽い力で進むでしょうか?
もちろん左の状態ですよね?
つまり、
ハンドル切れ角が大きいほど抵抗が増えて、意図せず減速させられてしまう。
ということが分かります。
これが結果的に角速度低下を招く場合があるので注意が必要です。
その2 キャスター角不足
皆さんキャスター角とは何かはもうご存じでしょうか?
ステアリングヘッドパイプの延長線と、地面に垂直な軸との角度がキャスター角です。
このキャスター角が少なすぎると、実は先述の切れ角過多と同じ現象が起こるのです。
今回もわかりやすいように極論で考えてみましょう。
下図は、
上の段がバイクを真上から見た絵(画面上が進行方向)、
下の段がバイクを真正面から見た絵(画面手前が進行方向)だと思って下さい。
左がキャスター角0°、右がキャスター角90°のバイクのハンドルを切ったところです。
特に「上から見ると」の絵にご注目です。
キャスター角0°の方はハンドルを切ったら切った分だけタイヤも同じように曲がる方向に切れているのに対し、
キャスター角90°の方は、ハンドルを切ってもタイヤはバンク方向に傾くだけで、進行方向に対し直進方向を向いたままになっていることがお分かり頂けるでしょか?
つまり、端的にお伝えすると、
キャスター角が小さいと
ハンドルを切ったら切った分だけ曲がる方向にタイヤの向きが変わるので、ハンドルを切った量と同じくらいタイヤも切れている。
キャスター角が大きいと
ハンドルを切っても曲がる方向とバンク方向にタイヤの向きが分散される為、ハンドルの切れてる量ほどタイヤは切れていない。
となります。
すなわち、キャスター角が小さいと、キャスター角が大きい場合に比べ、相対的にハンドル切れ角が増えたような効果がある。ということです。
その3 タイヤ空気圧不足
空気圧の影響は本格的に説明し始めると非常に難しい内容になってしまうので、ここでは割愛しますが、端的にお伝えすると、タイヤのプロファイルの影響で、空気圧が少なければ少ないほど(接地面積が増えれば増えるほど)ハンドルが切れ込もうとする働きが強くなります。
また、当然転がり抵抗も増える為、その相乗効果で、意図しない減速をさせられてしまいます。
まとめると、
・ハンドル切れ角過多
・キャスター角不足
・タイヤ空気圧不足
これらが「フロントタイヤが走らない」という時に考えられる主原因3選になります。
クロスチェックの手順とコツ
主原因はわかったけど、どれが自分に当てはまってるかわからないよ…という方も多いかと思いますので、ここからはそれを切り分ける手段をご紹介しようと思います♪
ところで、皆さんはクロスチェックというワードを聞いたことはあるでしょうか?
クロスチェック(cross check)とは、確認や検証の精度や信頼性を高める手法の一つで、二つ以上の異なる方法や観点、資料などによりチェックを行うこと。
今回は「フロントタイヤが走らない」という課題に対する原因の切り分けのケーススタディですが、このクロスチェックという手法は、別の課題に対しても同様に活用することができますので、ぜひ頭の片隅においておいて下さい!
クロスチェックの手順
1. 空気圧の寄与度チェック
1-1. フロントタイヤの空気圧を0.1kg/cm2ずつ上げてみる
1-2. フィーリングの変化とタイムの変化をメモする
1-3. フロントタイヤの空気圧を元の値に戻す
元の空気圧の方がタイムが早い場合 → 空気圧の寄与度は低い
空気圧を上げた方がタイムが早い場合 → 空気圧が低すぎる可能性あり
【一緒に読みたい記事】
2. キャスター角の寄与度チェック
2-1. フロントフォークの突き出しを1mmずつ減らしてみる(突き戻す方向)
2-2. フィーリングの変化とタイムの変化をメモする
2-3. フロントフォークの突き出しを元の値に戻す
2-4. フロントフォークのプリロードを1/2周ずつかけてみる
2-5. フィーリングの変化とタイムの変化をメモする
2-6. フロントフォークのプリロードを元の値に戻す
2-7. リアサスのプリロードを1/2周ずつ抜いてみる
2-8. フィーリングの変化とタイムの変化をメモする
2-9. リアサスのプリロードを元の値に戻す
2-1/2-4/2-7のいずれもタイムが伸びなかった場合 → キャスター角の寄与度は低い
2-1/2-4/2-7のいずれかでタイムが伸びた場合 → キャスター角不足の可能性あり
3. 切れ角の寄与度チェック
3-1. 切れ角を少しずつ減らしてみる
3-2. フィーリングの変化とタイムの変化をメモする
3-3. 切れ角を元の値に戻す
元の切れ角の方がタイムが早い場合 → 切れ角の寄与度は低い
切れ角を減らした方がタイムが早い場合 → 切れ角が多すぎる可能性あり
空気圧やプリロードの調整はできるけど、切れ角の調整ってどうやったらいいの?
この記事を読んでくださってる方の多くは説明するまでもないかもですが、念のため。
簡易的に調整するだけであれば、ハンドルストッパーのところにワッシャーなどを嚙ませたり、フロントフォークとフレームの間にジュラコンやゴム板を挟んだりといった手法で調整することが可能です。
もし本格的に調整機構をつけたい場合は、PBK(パワーバンド木村)さんに相談してみてもいいと思います!
PBK製 ハンドル切れ角 調整ブラケット
切れ角の調整をする際に便利なツールがありますので、ぜひこちらも活用してみてください♪
切れ角測定器
クロスチェックのコツ
先述の通り、クロスチェックは二つ以上の異なる方法や観点によりチェックを行うこと。です。
この、「二つ以上の異なる方法」を同時に試さないことが最大のポイントになります。
上記の手順を見て頂いてもわかる通り、1-3/2-3/2-6/2-9/3-3のそれぞれの手順で一度変化点を元に戻しています。
もしこれを、手順1と2と3をすべて同時にやってしまったり、2-1と2-4と2-7を同時にやってしまったりすると、タイムやフィーリングの変化が何の影響で生じたものなのかが全くわからなくなってしまいます。
クロスチェックを行う際は、必ず1つ1つの手法を試しては戻し、試しては戻す。を徹底するようにしましょう!
また、上記の理由から、チェックの順番も工夫することをオススメします。
例えば、車種によってはフロントフォークにプリロードの調整機構がなく、プリロード調整をしようとするとフォークを開けなければいけない。など、非常に手間がかかるケースもありますし、切れ角の調整も先述の調整器などがなければ少し億劫に感じるかもしれません。
逆に、タイヤの空気圧や、つき戻しなどは比較的気軽にできるのではないでしょうか?
このように、
気軽に試したり戻したりできる箇所から先に試し、試したり戻したりが大変な箇所を最後に行う。
というやり方をすることで、効率的に原因特定ができるので、是非試してみてください♪
おわりに
今回は「フロントタイヤが走らない原因は〇〇!!」と題して、考えられる3つの主原因とその特定方法をご紹介させて頂きました。
いかがだったでしょうか?
もし「自分もとことこ選手のようにアドバイスをもらいたい!」という方がいらっしゃいましたら、こちらからご依頼ください♪(もちろん無料です!)
もしご意見やご質問などありましたら、お気軽にコメント頂けますと嬉しいです♪
今日も最後まで読んで頂きありがとうございました!!
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